新庄まつり
人口約4万人の街が、50万人の観客で溢れる3日間。見る人すべてを魅了する“新庄まつり”に迫る!!
新庄まつりとは
260年前、大凶作に見舞われ意気消沈している市民を奮い立たせ、豊作を祈願するために時の藩主・戸沢正諶(とざわまさのぶ)が神を祀ったことがきっかけとなった祭りです。時代の流れと共に変貌しながらもその伝統は市民によって大切に守られ、現在では歌舞伎や日本古来の物語を再現した山車(やたい)を毎年手作業で丹精込めて制作。全20台の山車と代々語り継がれてきた囃子による山車行列が見どころです。また武士に扮した人々による神輿渡御行列が御神体とともに市内を練り歩きます。郊外の人々は囃子を担当、中心部の人々は山車を担当。市民総出で祭りを盛り上げる姿と、絢爛豪華で日本の歴史情緒溢れる風景は、見た者の心を大きく揺さぶり、毎年、日本国内外から大勢の観光客が訪れています。
市長メッセージ
この度、新庄まつりが山形県初のユネスコ無形文化遺産に登録されたことを大変嬉しく思います。
新庄まつりの特徴は、260年以上にわたる歴史と老若男女問わず市民が祭りに関わること。そこが今回のユネスコ登録に結びついたと考えます。一年がかりで手作業で山車を作り、練習を重ねた各演目、催しすべてに意味が込められ、市民の心意気が詰まっています。
知れば知るほど楽しめる新庄まつりを世界中の人々に体験していただき、世界中の人との交流の場となってくれることを願っています。世界に誇れる私たちの貴重な財産“新庄まつり”をぜひ一度見に来てください。
世界へ響け囃子の音色
近年、国内外からも多くの外国人観光客が訪れている新庄まつり。2016年は台湾からのツアー客も来訪しました。揃いの法被で市民と共に山車(やたい)を引き、夕方からは照明が入り色とりどりに煌めく宵祭りを目の前で堪能。日本の伝統ある祭り文化を目の当たりにした人々の多くの感動の声を聞くことができました。
台湾人観光客
祭りの趣旨である自然の恩恵に感謝する気持ちは、全世界共通のことなので共感できます。その思いをこれだけ巧妙に作り上げる情熱は素晴らしい。
台湾人観光客
今回、新庄市観光協会を通じ、私たちを手厚くもてなしてくれたことに大変感謝しています。是非また見に来たい!台湾でも新庄まつりの素晴らしさを伝えたいです。
山形県内のALT(外国語指導助手)も招待され祭りを堪能しました。花火や盆踊りなど日本の祭りを数多く体験してきたALTのみなさんですが、新庄まつりの壮大なスケールは圧巻だと口を揃えます。オーダーメイドの浴衣や法被に身を包み、日本特有の文化に触れたことを喜んでいました。
新庄市在住カナダ人
新庄市在住2年目。昨年に引き続き新庄まつりは2回目。また参加できてとても嬉しいです。山車制作も手伝った経験がありますが、とにかく手間がかかり大変でした。幻想的でカナダにはない文化です。世界中に広めていきたいです。
祭りにかける思い
山車の作り手 鉄砲町若連
祭りの山車は市内の各若連が、紙や布、材木などで物語の名場面を数ヶ月に渡り制作。既製品は使わず、すべて手作りです。夏の暑さの中、人々は休日返上で毎晩遅くまで作業に打ち込みます。「見る人の心に残る名場面を作り上げたい!」と話すのは代表の戸塚智(とつか・さとし)さん。完成した山車は長さ約7m、高さ約4.5mと見上げる大きさで、波しぶき、紅葉、人物の表情と、すみずみまで精巧に作られ、いまにも動き出しそうな仕上がりを見せていました。山車制作は専門の技術者はおらず、市民一人ひとりが職人です。「今後もどんどん技術を磨いていきたい」と戸塚さんは意気込みを語ってくれました。
イギリス人のヘンリーさん親子
新庄市出身の母とイギリス人の父を持つ、ヘンリー敬哉(たかや)くんとヘンリー真理緯(まりい)くん。イギリス在住の一家はこの時期になると、母の故郷・新庄へ里帰りし、祭りに参加しています。夏休みは新庄で過ごし、お囃子の練習に参加。奏でる寄席笛もお手の物でした。毎年新庄まつりを心待ちにしていると話す2人。「自分も小さいころからお囃子に参加していて、太鼓や笛の音を聞く度にいつも心が高鳴っていました。私に似たのかもしれませんね」と話すのは母親の直子さん。笛を奏でる二人の姿を見つめながら嬉しそうに微笑んでいました。
箱山さん三世代
囃子方として祭りに参加している、箱山繁(しげる)さん、息子の稔(みのる)さん、孫の瑛大(えいた)くん。20年以上に渡り、囃子の技術を伝え人材育成に貢献している繁さんと稔さんは「祭りで地域の子供たちが礼儀や上下関係を学ぶこともあります。子供たちの成長も見ることが出来る祭りは自分にとって生きがいです。祭りは人生そのもの!」と語り、瑛大くん(7歳)は鉦(金属製の打楽器)を4歳から続け、祭り前になると毎日練習を欠かしません。「練習は楽しい。笛も太鼓も出来るようになりたい」と話す姿はすでに、新庄まつりを未来に語り継ぐ立派な後継者です。
1日たりとも見逃せない!
新庄まつり3日間の見どころを
一挙紹介!!
新庄まつり① 宵まつり
新庄囃子合同演奏会:市内17の囃子若連が観衆の前で演奏を披露。囃子には楽譜はありません。人々が長年口伝いに伝えた音色を受け継いでいるので各囃子方ごとの様々な演奏を楽しむことが出来ます。
戸沢神社例大祭:戸沢家の始祖である戸澤飛彈守衡盛、新庄移封当時の藩主である戸澤右京亮政盛、11代藩主戸澤正實を祀られている「戸沢神社」。厳粛な雰囲気のもと、戸沢神社例大祭が執り行われます。
灯入式(ひいれしき):天満宮から授かった御神火を代表者に移す儀式。夕刻、寄席笛が響き渡る中、関係者が一堂に揃い御神火をひとつずつ提灯に灯します。新庄まつりの幕明ともいえる儀式です。
宵まつり山車行列:照明の入った巨大な山車全20台が、暗闇に浮かび上がる姿は幻想的、神秘的で見る者を魅了します。沿道や広場には大勢の観客が集まり、勇壮な祭り囃子の音色が街中に響き渡ります。
新庄まつり② 本まつり
天満宮例大祭:新庄藩主戸沢家の氏神として尊崇された神社「新庄天満宮」。大凶作にうちひしがれている領民に活気と希望を持たせ、 豊作を祈願するために領内をあげて行われた祭礼「天満宮祭り」が新庄まつりの起源といわれています。
神輿渡御行列(みこしとぎょぎょうれつ):御神体を神輿に移す神事が行われた後、市民200人余りが歴史情緒ある、武士の姿を装い市内を練り歩きます。足軽役の足さばきや傘廻しなどの見事な技から目が離せません。
市内の石川町ごきげん通りでは人々が沿道に座り、神輿より低い位置で行列を迎えます。新庄城址に侍町として栄えた厳かな風景が今も色濃く残ります。
本まつり山車行列:夏空に映える色鮮やかな山車を、子供たち中心の小若連が大きな掛け声とともに力一杯引っぱり、駅前広場に集合します。宵まつりとはまた違う雰囲気が見どころです。
新庄まつり③ 後まつり
護国神社例大祭
小若連囃子演奏会:各囃子若連の小学生以下「小若連」が日頃の練習の成果を発揮し、元気な音色を奏でます。各小若連は趣向を凝らし優勝を目指し競い合います。
奉納 鹿子踊(ししおどり):新庄市北部の萩野(はぎの)と仁田山(にたやま)という集落に伝わる民俗芸能で「萩野鹿子踊」「仁田山鹿子踊」の2種類が戸澤神社と護国神社に奉納されます。
飾り山車:山車全20台が市内の中心商店街に展示されます。各若連ごとのこだわりが詰まり、繊細に作り上げられた山車を間近でじっくりと鑑賞することができます。
街中 鹿子踊:新庄の鹿子踊はカモシカを模した、日本でも非常に珍しい踊りといわれています。五穀豊穣を祈願した力強い踊りが街中を彩ります。
手締式(てじめしき):囃子方、山車方、祭りの代表関係者らが集合。3日間の総評を行い、お互いをたたえ合います。全員の揃った手締めにより熱気に満ちた祭りは幕を下ろします。
おわりに
“新庄まつり”には、郷土愛、家族愛、自然に感謝する心、おもてなしの心、日本人の心の原点がすべてが詰まっています。ぜひ、一度見に来てください。3日間に人口の10倍以上の観客が訪れ、260年以上続いている。その理由がここにあります。
最終編集日 2016/12/01
- 下記、角川アップリンク発行誌 掲載情報を元に作成
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